ワラン



コスラエ州には 一カ所、同じ島内にありながらも 船で しかも満潮時しか
行き来の出来ない村があります。ワラン村と言います。
ここには 電気は勿論、水道もありません。生活用水は雨水を貯めて
電気の代わりは ランプを使って 日々を送っています。
料理は いわゆる”かまど”で支度しています。かまどの燃料は ココナツの殻、
木を使い、昔ながらの伝統を守り、基本的な自給自足の概念を大切にしています。
彼等は 道路の開通を 頑なに 拒否したそうです。ですから この島には
突然、行き止まりになる道路があります。これが 彼等の文明に対する ある意味
挑戦なんでしょうか・・・。
村の人々は 素朴で 親切な人ばかりです。今の日本では 考えられない人々です。
外の人間を受け止め、もてなす、その懐の深さは 一種、感動です。

11月24日、学校検診で この村を訪れました。
朝、4:00に 満潮の海へ出発です。波も穏やかで 20分程度で 到着。
船着き場は 勿論 あるわけはなく じゃぶじゃぶと 海の中へ降りて
上陸です。上陸した途端、びっくりしたのは 地面のたくさんの穴。
大小さまざまの その穴は 蟹の巣でした、おっかなびっくり一歩一歩、歩きました。
油断すると 足下が ずぼっと くずれるんじゃないかと そのくらい たくさんの
蟹のすみかが ありました。
道というより 野の小道という感じの 人一人分の幅、草のはえてない道を
てくてく進みます。豚が放し飼いでした、放し飼いの犬に おいかけっこを
挑まれて 遊んでいますが 真剣そうなので いつ こちらにぶつかってくるか
ちょっと 不安でした。豚の放し飼いは この村だけでなく 割とポピュラーです。
ただ いちど 勤務の帰り道、舗装道路を楽しげに 豚二人、散歩していたのには
さすがに 驚きました。
朝早い到着だったので検診開始までヤシの葉で屋根を葺いてある集会場で休憩です。
村人達がいそいそと とりたてのバナナやココナツで歓待してくれます。
この建物は 釘は使われておらず 
先人の知恵を受け継ぎ木が組まれています
日本のお城や仏閣を思わせる部分もありました。
ヤシの葉の屋根は 4,5年は もつそうです。

検診は 村の小学校で行いました。そこへ行くまでに 橋を渡りました。
細目の丸太を2本、組んだだけのシンプルな橋でした。涙が出そうになりました。
デジカメと 検診道具だけは 水につけないよう 落ちたときの態勢を考えながら
渡りました。
この橋の下にも 蟹が沢山 生息していました。片手が大きく、爪がオレンジ色や
赤色、胴体が黒色のコントラストがとても きれいな蟹です。
シャッターチャンスは 橋の上でしたので 全然 ありませんでした。

検診の間に 干潮となってしまったため 午後1:30から4:30まで
子供達と 診療用グローブを風船がわりにして 即席ビーチバレー大会でした。
子供達は 無邪気で 小競り合いしながら 喧嘩しながら 子供であるということを
満喫していました。笑顔が 屈託なく 道路開通を拒んだ村の大人達の気持ちが
少し、分かるような気がしました。。



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